2006年01月14日

土御門清泉

 特別皇宮警備機構(<オモテ>)内の人間ではないが、
大きな影響力を持つ、陰陽道の大家、土御門家の当主。
 
 有坂の伯父とつながりがあったため、
有坂はこの人物とかけあい、<オモテ>に入った。
 己の後ろ盾にしている。

 清泉自身は、涼にかける大表の方の期待が非常に大きい事を
知っており、できれば一人息子の明継と娶せたい。

 この事については、誰も何も言わないが、
それは、おおよそ、清泉の思惑どおりにおちつくことが、
 どのような方面から考えても、大正解だろうと、
有坂を含め、誰もが思っているせいでもある。

 これを承服できぬと考えているのは、おそらく、
本人である涼、唯一人だ。

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ニックネーム オートマタ・ファクトリー at 09:34| Comment(12) | TrackBack(0) | 登場人物照会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月14日

有坂

有様悩む


(有坂。

涼が出奔したことで、奔走につぐ奔走を強いられている。

 無論、お目付としての責任が問われることは間違いない。
が、今は、その行方を突き止めるのが、当面の急務。
 「ご守護さま」に何かあっては、
この国の霊的な護りは、一体、誰が果たすのか………!

 務める『特別皇宮警備機構』こと<オモテ>と、
『葛葉神道家』の間を何度となく行き来しながら、
 その横顔は、一日を待たずして、
焦燥で、げっそりやつれたように見える。

しかし、その内実は、体力的な面もさることながら、
 心の中で己を責めているせいでというのが
大きかろう………。

 葛葉神道家で、今も、老翁に呼び出され、
そのお目通りを待ちながら。

 頭の中にめぐるのは、カフェ再開の日の、
あのシーン………!


復活1


復活2


復活3


復活4


(心臓が、キュウッと締め付けられるような痛みが襲う。

全身を痺れさせるような、息苦しさを伴う痛み………!

 胃が、ひっくり返されるような、不安と焦り)


 何故



(何故、あのとき、大声で叫び、皆を外へ呼び出さなかった。

何故、いまもまだ、あのとき起こったことについて、
 自分一人の胸の中にしまい、誰にも言えないまま、
涼の出奔にだけ、大慌てに慌てている?

 なぜ…………

あの時、涼があの男を見、あの男が涼を見た。
 あの瞬間の交わし合わされた瞳が、胸の中に焼き付いて、
たちの悪い腫瘍のように、全身を疼かせてやまぬのだ………?)


嫉妬1


嫉妬2


(あの時、体はすぐ動いた。

自分には涼のような特別な力も、
 あの男に素手で立ち向かえるような自信も、なにもなかったが、

すぐに腕を伸ばし、
 涼をその腕から引き戻した。


離れろ


だが、それは、何も考えられなくなるくらいに、
 焦り、慌てていたからだ。

あの時、イサクは確かに何事か、涼の耳に囁いた。

 瞬間、涼が頬に浮かべた微笑みが。


復活5


笑顔


何故か、
自分の奥の何かを、がちんと発火させた………!


発火


 あの男の言葉を、一言でも。
それ以上、涼の耳に注がせたくない。
 いや、注がせてはならない………!

 その時の感情が、今、
心臓を疼かせる痛みとなって、血流の変わりに、
 自分の全身にながれているのがわかる。

 涼が出奔した。
その行く先は、
 もしや………もしや………!)

もしや


有坂:
(呼吸困難さえ覚えながら。
俯き、目を伏せる。
 軽く両手をひろげ、あの時、取り戻したはずの
涼の体の感覚を思い出そうとするけれど、
 うまく、できない。

 ………何故、これほどに胸が痛いのか。
けして、自分が手にしたいなどとは、考えたこともない花のはずなのに。
 目の前から消えた。誰かに奪われたのかもしれぬと、
そう考えるだけで、本当に心臓も止まらぬばかりだ。

 何故。何故、これほどに…………!

痛み

 ………老翁との目通りのため、部屋を移るよう、巫女が伝えに来る。
有坂、そっと、瞼をあげる)

 は。<オモテ>、ご守護さまお目付役…………

………いや。「諸刃(もろは)」、有坂岳彦。

 とく、…………参ります。
ニックネーム オートマタ・ファクトリー at 01:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 葛葉神道家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月05日

前哨戦 其之九 「防衛戦」三

愚策


(がちん。

………がちん。がちん。

 そんな音が次々と。
桜木の周りに音だけが組み上げられていく。

 何もないはずなのに、重量を孕む空気。
静かにあたりを見回して、桜木、
 苦笑する)

 おじいさま。何のおつもりで?
そのように周りを囲まれては、私は出るに出られません。
 まさか、私を死ぬまでここに………
お手元に、閉じこめて置こうというおつもりで?


おや?
 


(目を細め。
舌をチッチッチッと鳴らしながら、
 おどけた笑顔で、指を振った)


 おじいさまともあろうお方が、なんという愚策。
おっと、言葉が過ぎましたか?
 ですが、片腹痛ぅございます。
お忘れですか。
 私は、おじいさまと、交渉いたしましょう、と、
そう申し上げましたものを。


 おじいさまは、
まだ、天秤の片側だけしか聞いておられません。


 おじいさま。


涼は、私にとって、命と同意義。
 ですから、私は、それを、
おじいさまの命ほど大切なものと、
 ひきかえにさせていただこうと思います。


 おじいさま。
あの子をお離し下さいませ。
 あなたが命と等しく大切にされているものと、
引き替えに。
 この………国の、すべての人々の命と、引き替えに。



チッチッチ!



(闇が凍るように無音に。

そのまま、耳が痛くなるような沈黙が続く。

 桜木、その沈黙を聞くように、静かに目を伏せていたが、
すぅとあげた指を己の唇にあて、
 艶やかに微笑んだ)


おわかりですね?


 おや………できぬ、と、仰いますか。
それは、とんだ、かいかぶり。
 私はさして、優しい男ではございませんし、
それに、いまは、あの子を護るために、
 それはもう、…………必死でございますので。


(笑顔のおどけた様子とは裏腹に、
その目に宿る、強すぎる光。
 歪んだ笑みを、大きく唇の端に刻み)


 簡単なことです。

私がこの身を………「あれ」に委ねれば済むこと。

 あとはすべて、向こうで淀みなく事を運んでくれましょう。
あの存在が、私が「間違う」ことをどれほど待ち望んでいるか、
 おじいさまがご存知でないとは言わせませんよ。


 少なくとも、おじいさまは「あれ」に絡め取られた私の姿を、
一度はご覧になっているはずだ。

 私は、あなたさまが私の姿を見に来たのを覚えておりますよ。
たかだか2つ程度前の生の話だ。
 あれは、伊勢さまのご依頼でしたのでしょう?
あなたは、ただ、見て、帰られただけだったが………
 昨日の事のように鮮明に覚えております。


 私が「転」べば、いったい、どれほどの血が流れるか。
あなたさまはその目で見ておいでのはずだ。


 海の薫のする、あの城で。
  遠い、あの島原の地で………!


 私がどれほどの血を流させたか、

 そして、もし、私が現在の世で「転」べば。

 
この国の人間すべてを滅することなど、
 本当に容易いことに違い在りますまいよ………!


(涼やかに笑んだ桜木の姿に、
  一瞬、別の姿が重なる………!)



四郎


(見えぬ空気の囲いが、桜木の周りで見る間に瓦解してゆく。

桜木、深く微笑む。

 その姿はもう、もとの桜木………!)



にっこり


(にっこりと微笑んで、首を傾けて………)


 おじいさま。

涼をお離し下さいますね?

 今までどおり、こちらの跡継ぎとして、
こちらへ通わせますし、先に申し上げた通り、
 <オモテ>での務めも果たさせましょう。
ですが、あの子はこちらへは帰らない。
 帰るのは、私のところ。
毎晩、あの子はこちらでなく、
 私の元です。


そして、あの子がイヤだと言ったことは、
 何であっても、おじいさまに無理強いはさせません。


 脅迫するのかと?
そのとおり。

 脅迫です。

 
ねぇ、おじいさま。
 鷹也の言うことを、お聞き届けくださいますよねぇ?


 …………よろしいですよね、おじいさま。
お約束、いただけますよね?


………ねぇ?




ニックネーム オートマタ・ファクトリー at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 葛葉神道家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

 

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